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医療法人社団聖仁会 呂歯科診療所
〒216-0006
川崎市宮前区宮前平1-10-12桔梗ビル201
※駅前すぐです
TEL 044-865-9700
RSTとSSTを用いた破折・脱落受傷の治療
2025年12月10日
通院患者様が自転車転倒事故にて前歯5本破折や脱落の受傷する(2018年5月17日)
(受傷翌日来院時口腔内外写真)


受傷時パノラマレントゲン(2018年5月17日)

受傷前の口腔内写真(2012年8月6日 前歯部治療終了時写真)


初診日 : 2018年5月17日
主訴 :事故により怪我をしたので外科手術の手術回数を少なくしてほしい。今回の治療を最後にして長期予後が良好、安定的な術式を希望する。
治療計画 :
・右上3.1番 歯牙破折… インプラントブリッジ
・左上2番 歯牙破折…インプラントブリッジ
・左上1番 脱落…インプラントブリッジ
・右下1番 脱落…ブリッジ
検討事項:折れた前歯について通常通りの抜歯を行うと顎の骨が溶ける(束状骨の吸収により抜歯窩の形態を維持できず唇・頬側の骨吸収が起こる)。その際に溶けた骨により隣在歯の歯肉と被せ物(補綴物)との連続性が出来ずに凹面になり食べ物(食物残渣)が溜まる状態になる。このストレスを劇的に軽減を可能とするSSTテクニックが近年欧米で発表された。
【 通常の抜歯により唇側骨(外側の骨)が吸収し、へこんだ症例 】



➡審美領域における骨吸収を防ぐためのPET技法の歴史
近年、審美インプラント治療の進化により術者サイドの技術的、肉体的ストレスの軽減、患者サイドへの外科的侵襲度の劇的な軽減を可能とするテクニックが報告されている。審美領域で抜歯を行う際、束状骨の吸収により抜歯窩の形態を維持できず、唇・頬側の骨吸収が起こる。
これに対し、2007年にMaurice、石川、船登らは、ポンティックサイトであれば歯根を軟組織下に保存することで、歯周組織ごと歯槽堤を保存するRST(Root Submergence Technique)を発表した。2010年Hürzelerらは、インプラントサイトで抜歯即時埋入部位を唇舌的に分割し、唇側の歯牙片を保存して舌側の歯牙片を抜歯するSST(Socket Shield Technique)を報告した。
さらに2016年にGluckmanらは、ポンティック部位に歯牙片を残すPST(Pontic Shield Technique)を発表した。 Gluckman H, Salama Mらはこれらの3つテクニック【RST、SST、PST】をPET(Partial Extraction Therapy)と総称した。また、現在では船登らによりHIT placement(Hybrid Implant Tooth placement)もPETに加えられている。
➡PET(Partial Extraction Therapy)パーシャルエクストラクションセラピーとは?
以下4つの技法の総称
① RST(Root Submergence Technique)ルートサブマージェンステクニック
・・・歯と歯の間(ポンティックサイト)で有れば歯根を軟組織下に保存することで、歯周組織ごと歯槽堤を保存する
② PST(Pontic Shield Technique)ポンティックシールドテクニック
・・・歯と歯の間(ポンティックサイト)で有れば歯根片を軟組織下に保存することで、歯周組織ごと歯槽堤を保存する
③ SST(Socket Shield Technique)ソケットシールドテクニック
・・・インプラント治療で抜歯即時埋入部位を唇舌的に分割し、唇側(外側)の歯牙片を保存して舌側(内側)の歯牙片を抜歯して抜歯窩治癒後の顎の骨の唇側(外側)の吸収を抑える技術
《 適応症 》
・ う蝕、メタルポストコアが太く、残存歯質が薄くて保存不可能
・ 根尖病変による予後不良の診断を予測する
・ 歯根破折やマイクロクラックを認め予後不良の診断を予測する
・ 外部吸収を認め予後不良の診断を予測する
・ いわゆる戦略的抜歯
④ H I T(Hybrid Implant Tooth placement)ハイブリッドインプラントトゥースプレイスメント
・・・抜歯直後の歯槽骨や歯ぐきがまだ残っている状態を最大限活かして骨が減る前にインプラントを埋入する治療法
1.今回の術式の選択

・右上3番 ①RST
・右上1番 ③SST
・左上2番 ③SST
・右上2番通常の埋入
・下顎前歯ブリッジ
2. 右上3番RST(ルートサブマージェンステクニック)






3. 右上1番・左上2番 SST(ソケットシールドテクニック)


【右上1番SST 口蓋側歯根の抜歯】


【右上1番 SST インプラント埋入後に初期固定オステル値の測定】



← 右上1番 SST CT画像
※ CT画像にて歯根片が確認できる
【左上2番 SST 口蓋側歯根の抜歯】



← 左上2番 SST CT画像
※ CT画像にて歯根片が確認できる
4. 右上2番インプラント埋入
埋入後に初期固定35N/cmを確認する



← 右上2番 通常の埋入 CT画像
5. 下顎前歯ブリッジ装着


6. インプラントシリンダーテックにより外れないブリッジタイプの仮歯
➡ 骨に埋めたインプラントを支えにして、複数の歯をまとめた仮歯を固定する方法のこと


7. インプレッションコーピングによる全顎印象


8. 咬合採得


9. ジルコニアフレーム・アバットメント試適




10. 上顎インプラントアバットメント装着 口腔内写真


11. ビスケットベイク(素焼き) 口腔内調整
➡素焼き段階のセラミックを口の中に入れて、噛み合わせやフィット感を調整する作業のこと。この段階でしっかり調整しておくと、最終焼成後の歯がより正確に噛み合うようになります。




【 口腔内にて歯冠長の最終調整 】


12. 補綴物完成





【受傷時 2018年5月17日】

【最終補綴物装着 2020年3月19日】

【受傷時 パノラマレントゲン】

【最終補綴物装着 パノラマレントゲン】

【受傷前口腔内写真】

【受傷後最終補綴物装着】

前歯の受傷前の歯肉の膨らみが、抜歯後にも変わらない状態を維持してインプラント治療されています。患者様、術者も結果がとても良いと満足しています。
13. 最終補綴物装着より4年経過 (2024年10月18日)





